はじめに
 近年の日本は甚大な自然災害に見舞われ、多くの人命が失われるとともに、被災者の生活基盤が奪われています。特に、東日本大震災から7年半余りが経過しましたが、今なお6万人近くの方々が避難生活を余儀なくされており、一昨年4月に発生した熊本県を中心とした九州地震についても、復旧・復興の道のりは道半ばとなっています。さらに今年は、西日本豪雨や台風21号の風水害や大阪北部・北海道胆振東部での地震も発生しており、一日も早く元の生活に戻れることが急務となっています。
 このように各地で大規模災害が発生した際には、やはり公務・公共サービスを担う職場の役割は非常に重要であり、その労働組合としても組合員一人ひとりが職務を通じて本格的な復興に向けて取り組んでいくとともに、決して災害を風化させることなく、引き続き被災地に寄り添いながら再生への道を歩まなければなりません。
 しかし、公務・公共部門労働者をめぐっては、政府が掲げる基礎的財政収支黒字化の達成目標年次が2025年に先送りされたものの、財政規律の引き締めによる歳出削減が強行されれば公務員をはじめとした人件費の抑制が行われることなども危惧され、厳しい状況が続きます。
 このことから、国公連合では公務・公共部門の労働組合としての社会的責任と役割を果たすとともに、公務・公共サービスが国民生活に担う役割の重要性とそれを支える適正な賃金・労働条件と要員の確保について、公務労協が展開する「良い社会をつくる公共サービスキャンペーン」を通じて組織内外に訴えるなど、公務に対する国民の信頼を得る努力を継続してきました。
  また、私たちの取り組みについて、より幅広い働く仲間の理解を得ることが不可欠であることから、職場の内外を問わず「すべての働く者」とともに行動することを基本に、公務、民間の垣根を越え、職場・地域も含め連携することが重要になっており、連合に結集した政策要求運動等に積極的に参加するとともに、連合がめざす「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて運動を展開していくことが重要になっています。
 さらには、陸自のPKO日報隠しや森友・加計学園問題における文書改ざんなどに端を発して公文書管理の強化が行われており、それによって職場では労働強化が進む一方、人事院の懲戒処分に公文書の改ざんが盛り込まれていますが、国民の行政不信を招かないためにも、労働組合として行政のチェック機能を強化する必要があります。
国公連合は2001年10月26日、「早く激しく構造改革が進められるなか、この変革に対応していくパワーをつけるため、21世紀のはじまりに新たな産別組織を立ち上げる」ことを宣言し結成してから17年が経過しようとしています。
今後も様々な課題に直面することもありますが、引き続き、中央・地方で各構成組織と連携しながら、職場・地方ブロック・中央段階での組合員との情報共有と取り組みに向けた意思統一を図るとともに、組織運営にとって最も重要である組織拡大・強化に取り組み、組合員の雇用確保・労働条件の改善に向け、ナショナルセンター「連合」の産別組織として、そして公務労協・公務員連絡会の国公組織の中核としての役割を果たしながら、政府、人事院との交渉・協議を運動の中心に据えた取り組みを、今年度も展開していきます。
 また、国公連合運動の「見える化」を図るため、PDCAサイクルを示すことなどで取り組みがより各構成組織、組合員にとって身近に感じてもらうための運動の検証を進めながら、取り組むべき課題への対応を明確にしつつ、組織を拡大・強化し、組合員と家族が安心して生活できる社会の実現をめざして取り組んでいかなければなりません。
取り組みの重点
1. 組合員の賃金・労働条件の維持・改善に向けて、公務労協・公務員連絡会の枠組みにおいて主体的な役割を発揮する。
  (1) 2018年人事院勧告に基づく給与法等の改正については、公務労協・公務員連絡会の方針を基本に、交渉体である公務員連絡会の枠組みで、政府・人事院との交渉や各構成組織による関係当局との交渉に取り組む。
  (2) 2019年春季生活闘争方針の検討にあたっては、連合、公務労協(国家公務員関係部会)、公務員連絡会の議論に積極的に参加する。
  (3) 段階的定年延長の導入に向けて、公務労協に結集して取り組みを進める。
  (4) 独立行政法人等の協約締結権を有する構成組織の取り組みについては、公務労協国家公務員関係部会において、情勢と取り組みの意思統一を図る。
  (5) 級別定数改定等に関わっては、統一要求項目と各構成組織の要求事項に基づき、人事院と交渉を実施する。また、引き続き、内閣人事局との交渉を追求する。
  (6) 行政職(二)等の課題については、国公連合として統一要求に基づく集会と人事院との交渉を実施する。
 
2. 政府が進める様々な改革から組合員の雇用と労働条件を守る取り組みは、構成組織と課題を共有し十分な連携のもと進める。また、対政府との交渉・協議にあたっては、公務労協(国家公務員関係部会)の枠組みで主体的な役割を発揮する。
  (1) 独立行政法人等の雇用・労働条件の確保については、公務労協国家公務員関係部会に結集し、各構成組織における交渉状況等の共有化を図るとともに、必要に応じて統一的な対応を図る。
  (2) まち・ひと・しごと創生本部が進める政府関係機関の地方移転については、該当機関に勤務する職員の雇用・労働条件に大きな影響を及ぼすことから、統一的対応については公務労協国家公務員関係部会と連携しながら政府との交渉・協議を継続し、道州制の課題などを含めて政府・国会の動向等を注視する。
  (3) 予算概算要求に基づく機構・定員の要求状況について、各構成組織の状況を共有化し、必要に応じて内閣人事局との協議を追求する。
 また、2014年度に閣議決定された「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」に基づく5年ごとの見直し時期が来年度到来し、2020年度以降5年間の定員合理化目標設定を行うとされていることから、計画策定に関する動向を注視するとともに、内閣人事局への所要の対応を図る。
  (4) 公務労協の「良い社会をつくる公共サービスキャンペーン」に中央・地方で積極的に取り組む。
 
3. 労働基本権を確立し透明で民主的な公務員制度に向けて、連合・公務労協と連携した運動を進める。
  (1) 連合・公務労協と連携し、ILO勧告を満たした労働基本権を確立し透明で民主的な公務員制度改革の実現をめざす。
  (2) 「労働基本権確立」の意義と課題について、賃金・労働条件改善の取り組みと連動させて、改めて、国公連合における取り組みの意思統一を図る。
 
4. 駐留軍労働者の雇用確保と労働条件の改善に向けて、全駐労と連携して取り組む。
  (1) 労務費負担の継続と米軍基地の再編統合にかかわっては、国の責任で駐留軍労働者の雇用を確保するよう求める。
  (2) 駐留軍労働者の身分上の位置付けを法律で明確にさせるなど「基本法令」の制定を求める。
  (3) 駐留軍労働者の労働条件に関する、日米政府間合意「国内法令順守、国家公務員準拠の労働条件」を実効あるものとするよう求める。
  (4) 連合とともに、「日米地位協定の改定・見直し」を求める。
 
5. 「1000万連合」実現に向けた連合運動と連携し、組織強化・拡大に向けた取り組みを進める。
  (1) 公務労協組織拡大センターと連携し、霞ヶ関における各府省庁対策に全力をあげる。
  (2) 各構成組織における組合員数の増減状況等の把握を行うとともに、企画委員会を中心に全構成組織共通の取り組みとしての具体的な対策を検討する。
  (3) 「非常勤職員等対策チーム」を継続し、具体的な取り組みを検討する。
  (4) 中央・地方ブロックが一体となった運動を展開するため、各構成組織との意見交換を通じて、地方ブロックにおける機能強化を図る。特に、地方連合会への加盟形態のあり方については、各地区協議会・構成組織との連携を図り、慎重かつ丁寧な意思疎通を行い、先行して対応可能な都府県から具体化に向けた議論を進める。
  (5) 本年のILO総会・基準適用委員会における個別審査の結論を踏まえ、日本の刑事施設職員の団結権付与に関する組織的な環境整備を図るため、自主組織の建設に向けた対策を講じるとともに、そのための体制整備を公務労協と連携して進める。
 
6. 国公連合男女平等参画推進計画の目的と意義についての理解を深め、全ての働く人が働きがいを持てる職場を目指す。
  (1) あらゆる機会をとらえて、男女平等参画推進計画の啓発に努める。
  (2) 男女平等参画推進委員会を設置し、課題の抽出を行い、人事院との交渉・協議を通じて解決・改善を図る。
  (3) 国公連合の機関運営に女性組合員が積極的に参画できるよう、中央執行委員会に女性枠を設けるとともに、環境整備に努める。
  (4) ユース層を対象とした研修会「さんかくスクエア」を開催し、構成組織間の情報交換・交流を図る。
 また、研修会などの機会を通じ、LGBTやSOGIなど性的マイノリティに関する理解を深めることを進める。
  (5) 連合、PSIなどの取り組みに積極的に参加する。
 
7. 連合運動への積極的な参画を通じて、国公連合の政策・制度の要求実現を図るとともに、平和運動の推進と環境を守る取り組みを進める。
  (1) 連合の各種行動に積極的に参加し、連合がめざす社会「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて、すべての働く者との連帯を図る。
  (2) 各構成組織の政策・制度課題について共有を図りながら、連合の諸会議等の議論に積極的に参画する。
  (3) 連合の平和行動に積極的に参加する。